研創電子カタログvol.51
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不動態皮膜の生成を妨害バリアーの役割CrCrCrCrCrCr表面に不動態皮膜ができるイオン電池化で腐食が促進される347ステンレスに混ぜてあるクロムが空気中等の酸素と結合して、表面に酸化クロムという薄い皮膜(不動態皮膜)を形成します。その皮膜のおかげでステンレス中の鉄が錆びるのを防いでいます。ステンレスは、基本的に鉄の合金鋼です。クロムやニッケルなどの錆に強い金属を混ぜることで錆びにくくしているもので、使用環境によっては鉄の成分が錆びることがあります。一般的な屋外環境下において、何らかの外的要因が加わらない限りステンレス製品に錆が発生することはありませんが、稀に以下のような事象が複合的に生じることで、ステンレス製品に錆が発生することがあります。●土埃などに含まれる砂鉄の飛散付着●鉄道・駅周辺などでは線路からの飛散鉄粉の付着●金属の切断・研磨・溶接などを行なう工場、建築現場などからの飛散鉄粉の付着●その他、周囲の錆びた物から飛散した錆の付着●付着物が異種金属の場合、種類によっては接触部に雨水などが介在することで「電蝕」が発生する場合もあります。電蝕は付着した物質のイオン化傾向や質量などの条件によって、短期間で急激に錆が発生することがあります。●設置環境によっては、■の塩害が複合的に発生する場合があります。●工場の排煙、建築現場、主要幹線道路、鉄道から飛散する粉塵の付着●風によって飛来、付着した土埃、黄砂、花粉、その他異物の付着●その他、汗や血液、尿などの付着、周辺に火山や温泉地、重化学工業地帯等が存在する場合、硫化物や塩化物の付着、植栽への除草剤、除菌剤、肥料などの散布による付着などがあり、成分によっては、■の塩害が複合的に発生する場合があります。●付着物が金属の場合は、■のもらい錆や電蝕が複合的に発生する場合があります。酸素表面CrCrCrクロムCrCr表面に鉄分が付着し、それが腐食した状態になったものをいう。この段階で表面の鉄を除去(掃除)してやれば、元の状態に戻るが、そのまま放置しておくと「異物の付着」の事象が発生する。FeFe表面に異物(微小なゴミ)が付着することにより酸欠状態と毛管現象が発生し、腐食の発生及び腐食が促進する。CrCrCrCrクロムと酸素が反応鉄分が付着して腐食し錆びに不動態皮膜ステンレス【酸欠状態による腐食】電位差発生微小なゴミ酸素量が欠乏(イオン電池化)による腐食が発生CrCrCrCrCrCr外から錆びをとれば元の状態に!【毛管現象による腐食促進】放置すると事象が発生「異物の付着」の微小なゴミ(火山灰、花粉、  黄砂、金属粉など)酸素量が豊富雨水不動態皮膜ステンレスは鉄に比べて、なぜ錆びにくいのか?ステンレス製品の錆発生要因09■もらい錆ステンレス製品に微細な鉄粉などが飛来・付着し、雨水などによって錆びてこびり付き、ステンレスに含まれる鉄分にも錆が拡大していくケースです。■異物付着によるステンレス不動態被膜の孔食ステンレス製品に微細な異物が付着、あるいは粉塵などの清掃が行き届いていない場合など、付着した汚れに雨水が加わることによって、付着部分が酸欠状態となり不動態皮膜が孔食され、ステンレス本体に含まれる鉄分に錆を誘発するケースです。ステンレス製品の錆発生要因とお取扱い注意事項

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